シーリングはミニチュアダックスに優しいの?

先日、手術器具の業者さんが、「シーリング装置」を売りこみにやってきました。

なんでも、避妊手術の際に糸を使わずに止血ができるとのこと。

「避妊手術に糸をつかわなくてもよい」ので、とくにミニチュアダックスフンドで多い、縫合糸肉芽腫または脂肪織炎を防げるそうです。。

これだけ聞くと

「おーそれはすごい!ミニチュアダックスは、まだまだ流行っているし、ぜひ買わねば!」

となるのですが、、、、

「じゃあ糸を使わない手術というならば、、、皮膚や筋肉も、糸を使わないで、「超音波メス」とやらでくっつけることができるの?」

その質問に、業者さんは、おろおろしてました。

「結局、おなかを閉じるのに糸をつかってるのに、糸を使わない手術なんてそんなの嘘ジャン!」

なーんて会話がありました。

あとでよくよく調べると、シーリングで凝固された組織は、生体にとっては「異種タンパク(つまり異物)」となるため、縫合糸肉芽腫を完全に防ぐことはできないとのことです。

「糸の使わない手術」とか、「ミニチュアダックスに優しい」って言葉に、まどわされて余計な出費をするところでした。

ちなみに私は、ミニチュアダックスフンドの手術を数多く経験してますが縫合糸肉芽腫になった子は一頭もいません。(2010年現在)

なぜ?と知り合いの獣医師に聞かれますが、「日ごろの行いがよいからだ」ということにしております(笑)

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書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。

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