安い価格の獣医さんは本当に良心的か

以前にも書いたかもしれません。

しかし、また、避妊手術による合併症を起こして転院してこられたわんちゃんがおりましたので、ブログを書かせていただきます。

避妊・去勢手術に関して言えば「安くて良心的」な動物病院って本当に稀だと考えます。

安い避妊手術には実はからくりがあって、安く済ませるために、安い消耗品・糸を使用していることが多いです。

安い縫い糸で代表的なものが「絹糸」。絹といえば、布にすると高級なイメージがありますが、手術に使用する消耗品としては、とても安価なものです。

当院には、他院で受けた避妊手術で、そのような安物の糸を使用したことが原因と思われる、肉芽腫性脂肪織炎を発症し、腎臓を片側失なってしまったり、完治することのない、慢性的な胃腸疾患・皮膚疾患を起こしてしまったわんちゃんがおります。

この10年、絹糸のような「安い手術消耗品」を使用することによる弊害が数多く報告されているにもかかわらず、安価に手術ができることから、この糸を使用されているところも多いみたいです。もちろん「安く手術」という需要が飼い主様のほうからあるという現実もあります。

家電製品では「安い」=「中国製かな?すぐ壊れるかな?」

と皆さん考えるはずなのに、なぜ、手術では

「安い」=「良心的!」

と考えるのでしょう。

人間の視力矯正手術である「レーシック手術」においても

「格安のレーシック手術」を掲げている眼科で手術を受ける気になりますか?

皆さん「怪しい」と真っ先に思いますよね。

なぜ動物病院では

「安い」=「良心的!」

になるのでしょう。

私からすれば

「安い手術」=「経費を削減して行われたそれなりの手術」

なのだと考えてしまいます。

当院では、糸はPDS2という術後の合併症が起きにくいものを使用しておりますし、血管の結紮には、シーリングという糸を使用しないでも出血を止める器具を使用しております。

避妊手術は、一生に一回の手術ですので、後々問題にならないような術式・道具・消耗品を使っていきたいなと自分では思っております。手術中も、生体監視のモニター類をフル稼働して、安全な手術を心がけます。避妊・去勢といっても手術であるからには手を抜きません。

そのために、「格安」手術ではなくなります。でも「安心で良心的」な手術を目指していきたいと思っております。

 

しかし、まあ、比較的安くない手術料金にもかかわらず、価格の安い消耗品・糸を使用している場合もあるようですが・・・

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書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。

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