膝蓋骨脱臼

突然、悲鳴をあげて片足を上げるようになったと来院されたNちゃん。

膝のお皿が外れてしまう膝蓋骨脱臼という状態になっていました。

膝蓋骨脱臼とは、後ろ足の膝の関節にあるいわゆる「膝のお皿」の部分が、大腿骨の下にある滑車という溝の部分から外れてしまうことをいいます。

↓クリックで画像を拡大できます。

膝蓋骨脱臼には、膝の内側にはずれる内方脱臼と、外側に外れる外方脱臼がありますが、小型犬では内方脱臼が多くみられます。

脱臼すると、足を引きずったり、ケンケンしたり、痛さで悲鳴をあげるというような症状が出ます。その症状の重症度によって、痛み止めを使って安静にするだけで治ることもありますが、中には手術が必要となる症例もあります。

脱臼を繰り返すようになると、膝の靭帯に負担がかかり、十字靭帯断裂や関節が変性したりします。

Nちゃんの場合は、始めは症状が軽かったため、痛み止めを服用し安静にしておりましたが、1週間で症状がひどくなってきたため手術をすることになりました。

膝蓋骨脱臼の手術方法は沢山存在し、そのなかで、その子に合った術式を選択します。

Nちゃんの場合は、滑車の溝をドリルで削って深くした後、内側に金属の堤防を築いて脱臼を防ぐ方法を選択しました。

手術後は、痛みもありすぐには4本足で歩くことはできませんが、痛み止めを服用しながらリハビリにはげみ、2週間後の抜糸時には、多少の違和感はありますが4つ足で歩くことができるようになりました。

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書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。

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