FIP治療の実際

私が猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療を始めてから5年経ちます。

初めはMUTIANというとても高価な薬で治療をしていました。中古車でも100万じゃ買えない時代に、猫の命を救うための100万円

が高額治療なのかどうかというのは、意見が分かれるところです。

その後安価で危険なGS441524が出回りました。私はそれを駆逐するために「モルヌピラビル」という人間の新型コロナの薬を使用し

FIPを治療する方法を研究し、米国獣医内科学学会誌に論文を投稿しました。

安価で確実な治療が広まるようにと、「令和の虎」というYoutube番組まで出ました。

しかし実際にはどうでしょう。

FIPのことを全く勉強もせず、とにかく広告費を使って「安くていい治療」「90%の治療率」などと、とても医学的でない表現で

私の治療法が曲解して広まり、不幸な猫さんがふえるしまつです。

今まで散々FIPの治療を否定しておきながら、儲かると知るや薬を個人輸入して飼い主に売りつけるだけの獣医や動物病院がなんと多いことか。

それで不幸な結果になる猫さんのなんと多いことか。

私はYoutubeで、上記の危険な獣医・動物病院にはかからないように、FIPをまともに治療できないのに嘘の安価な広告で、客寄せしている

獣医にかからないように、手前味噌ですが、正しい知識を広めるために、毎週金曜日 FIPのネタだけのYoutubeの発信を行なってます。

もし、お近くの猫さんで、FIPになってしまった方がおられましたら、ぜひご覧いただきたいと思っています。

佐瀬 興洋

数年前までは、ほぼ100%亡くなってしまう病気でしたが現在では、9割以上の猫さんを寛解に持ち込める病気となりました。
治療の進化にはすばらしいことです。

しかし、一方で、効果の無い治療(サプリメントは、そもそも効果を謳ってはいけない)を広告している、また、FIPの治療に慣れていない動物病院が間違った治療を行い、亡くなってしまうというFIP治療ブームに乗じた事態も多発しています。

高額な治療費をかけたにも関わらず治療がうまくいかず、再発している症例も多く見られます。

FIPは、以下に記述しました良い薬の出現で、治る病気になりましたが、魔法の治療薬が出現したわけではありません。良い薬も正しく使わなければ、効果がありません。

安易にネット広告の情報に騙されず、FIP治療の実績のある獣医師にご相談いただきたいと思います。

以下に、現在行われているFIPの治療と、私の個人的な考えを書きます。参考にしていただければ幸いです。(FIP治療の現在の状況を説明しているだけで、特定の薬物の広告をする意図はありません。)

MUTIANによる治療

GS-441524による治療

Molnupiravirによる治療

④ インターフェロンやステロイドによる治療

⑤ サプリメントによる体調管理

1. 5-ARA

2. コルディ

3. RetroMAD1

MUTIANによる治療
MUTIANは、後述するGS-441524という薬というヌクレオシドアナログ系抗ウイルス薬と同じ機序で、FIPウィルスの増殖を抑えます。

ただ、中国では動物用医薬品として登録されているようですが、日本では未認可医薬品という括りになります。

MUTIANは会社の名前のため、現在はXrapconnという薬品名がつけられてます。

GS-441524による治療
ギリアド・サイエンシズによって作られたヌクレオシドアナログ抗ウイルスがある化合物です。実際には、薬として販売されておらず、実際世の中に出回っているものは、中国のメーカーが独自に原薬を注射薬や内服薬に加工したものです。
「GS」という略称で広まっていますが、メーカにより品質や効果もばらばらです。パッケージに製造年月日が書いていないものも多く、そもそも包装されずに、チャック袋に入れられてるものも多いです。
価格はMUTIANより安価ですが、品質もバラバラです。すべてのメーカーが「うちの製品は、清潔な製薬工場で作られ、GSの濃度が高く、再発もなく、しかも安いです」という売り文句をコピペのように並べますが、話半分に聞いたほうがよいでしょう。
メーカーを選んで、治れば安く済む(MUTIANの半額くらいです)のでラッキーくらいに考えたほうが良さそうです。(もし、使用を検討されてる方がおられましたら、私の知る限りのアドバイスすることはできます)
また、この化合物に関しては、ギリアドの特許を侵害しているという問題点があります。
ギリアドに訴えられては消え、また名前を変えて登場するという、そもそも製薬としての信頼性に疑問があり、偽薬も多いため注意が必要です。

Molnupiravirによる治療

MUTIANとGS-441524と同じヌクレオシドアナログ系抗ウイルス薬です。
発売元の米Merck社はインドの大手ジェネリックメーカー5社と非独占的で社会貢献的なライセンス契約を締結しており中所得・低所得国への人道的な供給を目指しています。

まだ、MUTIANと比較し、実際の症例数、各方面の報告が少ないという点が欠点です。

当院では治験として使用しております。MUTIANの1/5ほどのお薬代のご負担を頂いております。

④インターフェロンやステロイド、イトラコナゾールによる治療
上記の薬が出る前に緩和療法として採用されていた。現在では、寛解に向けた治療としては行われていません。

⑤ サプリメントによる体調管理

1. 5-ARA
北里大学で実験されたサプリメントです。EneARAという名前でサプリメントとして発売されています。あくまで「健康補助食品」のサプリメントなので「健康に良い」くらいに考えておいたほうが良いと思います。

2. コルディ
あくまで体にいいサプリメント扱いです。広告では、FIPに効くとは書いておらず、あくまで飼い主が「よい」と経験談を書いているだけにすぎないとこが注意です。
人間のサプリメントの「こんなに腰がよくなりました!(*個人の感想です)」と同じ類です。
何度も言いますが、サプリメントは効果効能を謳ってはいけません。やらないよりやったほうがいいかな?くらいで、治療で使おうとするのは間違いです。

3. RetroMad1
nyAERAという雑誌で、サプリメントとして登場すると宣言された薬物。
基本的に、サプリメントによる治療は、治療ではなく、健康補助食品として「健康に良い」くらいに考えておいたほうが良いと思ってます。

FIPの治療薬としては結果を出すことができず、どうやら断念したもよう(2021年8月現在)

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