フィラリアの予防時期について

質問:フィラリア予防は、いつからいつまですればいいのでしょうか?

答え:佐倉市でしたら、6月上旬~12月上旬の7ヶ月間(計7回)の投与で、確実な予防ができます。

他の地域のデータも作成しましたのでご覧ください!

HDUによるフィラリア感染期間の予想 

解説

フィラリアは、蚊に刺されることによって感染する寄生虫です。

心臓や、肺の血管に寄生してワンちゃんに様々な症状を起こします。

 

蚊によって媒介するため、蚊のいる時期、一ヶ月に一回予防薬を投与して、フィラリアの感染を予防します。

 

 一年を通じて予防薬を投与するのでしたら何も考えることはありませんが、最小の投薬期間で確実に予防するためには、感染開始と終了時期を知る必要があります。

 それを知るための一つの方法として、HDUHeartworm Development Heat Unitというものがあります。

 これは、フィラリアを媒介する蚊の体内でフィラリアの子虫が感染幼虫に発育するのに必要な積算温度の単位で、それによりフィラリアの感染開始と終了時期を算出する一つの考え方です。

 

では、このHDUにより算出された、千葉県(佐倉)地域のフィラリア感染開始日と感染終了日の、過去10年間を計算してみると・・

 

  年度  

2007

2006

2005

2004

2003

2002

2001

2000

 1999

1998

感染開始

5/24

5/30

6/3

5/19

5/29

5/28

5/25

5/28

5/23

5/13

感染終了

10/24

10/30

10/27

10/23

10/16

10/26

10/18

10/25

10/29

11/2

 となっており、概ね5月中旬~6月上旬から感染時期に入り、10月下旬~11月上旬に感染終了になることがわかります。(あくまで過去のデータであり、今年がどうなるかはわかりませんが。)

 フィラリアの予防薬は、服用していればその後1ヶ月間感染しないという予防薬ではなく、蚊に刺されることによって感染した幼虫を、一ヶ月分まとめて心臓に到達するまでに殺すという薬です。

 

 当院で処方しているフィラリア予防薬は、感染後15日~50日齢の幼虫を殺す薬ですので、感染開始時期である5月中旬に感染した幼虫は、6月上旬に薬を投与することにより予防、感染終了時期である11月上旬に感染した幼虫は、11月下旬頃に薬を投与することにより、確実な予防ができます。予防薬は1ヶ月に1回ですので、11月上旬で投与をやめるのではなく、下旬。もしくは12月上旬まで、7ヶ月間は予防することが重要です。

 

Follow me!

書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。