診断を付けるということ

 病気を治すのに、診断をつけるということは非常に大切なことです。獣医学の進歩によって、様々な検査が開発され、今までわからなかった病気が診断できるようになりました。

 私が病院を開業する前は、吐き気がある動物に対して、「吐き気止め」と「脱水に対しての輸液」のような対症療法(その症状に応じた治療)のみを行っておりました。ほとんどの動物はこの対症療法を助けにして自分の治癒力で治っていくのですが、それに反応しない場合は、お手上げというようなことが多々ありました。

 現在では、内視鏡や超音波検査を初めとする様々な検査で、「何で吐き気が止まらないのか?」という原因を調べることができるようになりました。

 「検査ばっかりやるのね。。治療費が高くなっちゃうわー」といわれたことがあります。「他の病院では、パッと見ただけで病名がわかったのに先生はどうしてみただけでわからないの?。」なんていわれたことも。

 私からすれば、見ただけでこの病気だ!(もちろん見た目で明らかな病気もあるのですが、)と診断(決め付けてしまう)獣医師は、神の目をもった魔法使いか、ペテン師のどちらかだと思います。

 動物自身が、「昨日ちょっとお腹が冷えちゃってさ~。ちょいと下痢してるんですよ。」とか、「お散歩のとき、嫌いな犬にあっちゃって、それからお腹の調子が悪い」などと話してくれるなら、検査の必要はないのでしょう。

 動物は物をいいません。そして、いつも一緒にいる飼い主さんですら、動物がどうしてそんな症状になったのか、わからない場合が多いです。

 だから検査をします。

 私は、診断をつけることが、治療への第一歩だと考えてます。診断をつけずにダラダラと効果のない薬を飲ますほうが、実は治療費が高額になってたりします。

 高額過剰な検査は、動物や飼い主さんへの負担も大きくなります。もちろん私は、この症状にはこの検査が必要でこのくらいのお金がかかるとお話した上で検査を進めていきます。

 ただ、どんなに様々な検査をしても、原因が判明しない病気があります。

私の尊敬している獣医さんの受け売りなのですが、診断名というのは所詮人間が決めたものです。獣医科大学は人間が決めた病気の名前を付けられるようになるという勉強を6年間します。医学部でもそうだと思います。2011年現在、人類は生命や病気を何パーセントぐらい理解しているのでしょうか?

 正しい診断を付ける。基本的なことですが難しいことです。

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書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。

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