膝の病気あれこれ

当院は、骨折・脱臼等の整形外科はもちろん、頚部・胸腰部椎間板ヘルニアの椎間板ヘルニアの手術も行なっております。

最近小型犬で多いのが、いわゆる膝のお皿がズレてしまう膝蓋骨脱臼という症状です。

生まれつき膝が脱臼しやすい犬種もありますが、強く膝をひねるなど外傷によって膝が外れてしまい、元に戻らないこともあります。

ただ、膝のお皿の脱臼に対して犬はやがて慣れてしまい、脱臼したまま歩いてしまう子も多いです。

犬は4本足で歩きますので、一見治って普通に歩いているように見えていても、実はしっかり体重をかけていないのに気づかない子が多いです。太ももを触ってみると、片足だけ細くなっている子は、すでにその足に体重をかけておらず、近々負担がかかっているもう片方の足にも異常がでることが予想されます。また、膝の脱臼が先天的な股関節の異常に続発して起こることも多いです。

この子は股関節の異常により右足(写真では向かって左)の太ももが細くなってます。

何れにしても、様子を見すぎて、どうにもならなくなってしまうことも多いですので、一度動物病院に来院されると良いかと思います。

「ほっといてもなおった!」「様子をみてたら治った!」のが本当に治ったのか、それとも、患肢に負重をかけるのをやめて事実上三本肢で歩いているのかで予後が変わります。

同じ膝の病気で、前十字靭帯断裂というものがあります。

これは、膝が捻れるなどの外傷の他に、上記の膝蓋骨脱臼などによって膝が不安定になり靭帯が切れてしまう場合や、先天的に関節の形状が靭帯に負担がかかりやすい犬種であったりして起こるものです。なによりもわかりやすいのがYoutubeのこの動画です。英語ですが、画像だけみててもかなりわかりやすいです。

動画にもありますが、治療方法は人工の糸によって切れた前十字靭帯の代用とするか、最近ではTPLOという、脛の骨の関節の角度を変えて、膝を安定させる方法があります。

  TPLOによって膝の安定化を計ったシーズーの膝関節

前十字靭帯断裂は、半月板の損傷を併発させやすく、痛みも強いものです。痛みがのこるとやはり足を使わなくなり、筋肉がどんどん痩せていってしまいます。一度痩せていってしまった筋肉を回復させるには、積極的なリハビリが必要になります。

当院では、手術後のリハビリを積極的に推奨しております。なかなかお家でリハビリは難しいでしょうから、

ご近所のわんフィットさんのリハビリ施設をおすすめいたします。

http://www.wan-fit.net/

ここには、全国でも珍しい巨大な犬用リハビリプールがあり、超小型犬から大型犬まで、対応しております。

手術を決めるまで時間がかかってしまい、機能の回復が遅いわんちゃんや、また、手術後、早期の回復を求める方にご紹介しております。

毎回報告書を病院にいただいておりますので、リハビリの成果を見ながら診察や治療を行うことができます。

お年をとってしまうなどで、とても手術ができないというわんちゃんは、サプリメントを使用することが多いです。

https://www.vetzpetz.jp/

当院でおすすめしているサプリメントです。

この写真に写ってるブライアンビール先生なのですが、最近よく日本にいらっしゃることが多いのです。

ブライアンビール氏とツーショット

だからといって、アンチノールの会社や、ブライアン先生となにか特別な関係があったり、利益相反があったりしてるわけではありません。

純粋によいサプリメントだなと感じていますので、おすすめしております。本当です。

何れにしても早期の診断、処置が予後を左右させます。お気軽にご相談ください。

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書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。

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