皮下注射や静脈注射をする前に、注射部位の皮膚を消毒用アルコールで「ゴシゴシ」拭いてから注射をするのは、昔からどこの病院でも見慣れた光景となっています。人の病院でも、いまだに殆どの病院で「注射前のアルコール消毒」をしているのが現状です。しかしこの「皮膚のアルコール消毒」は、実は医学的には全く意味の無い行為である事が明らかになっています。

意味が無い行為だけならまだしも、刺激物であるアルコールにより注射部位に痛みを生じさせ、また注射薬にアルコールの成分が混ざることにより薬の効果が弱くなるという、デメリットを生じさせます。

しかし、消毒としては「無意味」でも、動物に注射をする際には、ときとして「アルコール」が便利な場合があります。動物の皮膚には「被毛」が密に生えているため、アルコールで毛を濡らして皮膚が直接肉眼で確認できる状態にすると、注射をしやすい場合があります。また、静脈注射の際には、アルコールで毛を除けて、血管が見えやすいようにすることで注射がしやすくなります。あくまで濡らすという行為に対するメリットであり、消毒としてのメリットはありません。

従って、このような目的で注射の前に「アルコール綿」を使用することがありますので、ご了承下さい。

飼い主様の中で、皮下注射の際のアルコール消毒をしないことに対して不安を生じた方がおられたようですので、待合室にも上記の内容を掲示させていただきました。

当院では、すべての皮下注射に滅菌済みの使い捨て注射針・注射器を使用しております。

詳しくは獣医師までお尋ねください。

 

参考文献:皮下注射の前のアルコール消毒は必要か – 新しい創傷治療

書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】


2004年 麻布大学獣医学科卒業

2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了

2008年 ユーミーどうぶつ病院開院

2013年 HJS 整形外科研修

2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了

2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了

2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加

2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加


【所属学会・資格】

獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会



外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。
内科分野においても幅広く勉強しております。
内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。