活性化自己リンパ球移入療法について

活性化自己リンパ球移入療法が、手術、抗ガン剤、放射線療法に次ぐ、第四の新しい治療方法と近年盛んに宣伝されています。佐倉市周辺の動物病院に於いても実施できる病院が増えております。
当院に通っておられる飼い主さんの中にも興味をお持ちの方が少なくないようですので、本日はその辺りの事をブログに書こうと思います。

活性化自己リンパ球移入療法とは、もともと、ヒトに於いて肝癌初期治療後再発予防効果が認められるとして研究が始まった細胞免疫療法です。理論的には免疫腑活剤インターロイキン2により活性化されたTリンパ球による治療ですので、インターフェロン同様ウイルスが関与すると考えられている肝がんや子宮頚がんに対する抗ウイルス効果を介した効果は期待できると考えられていますが、他のがん腫に対してはせいぜい一時的腫瘍マーカーの減少効果ということにとどまっているようです。

がん細胞の活発な転移、再発、終末期などの時期の抗腫瘍効果はほとんど認められません。
他の治療法と併用することで腫瘍縮小効果が見られたとの報告もありますが、一般的とはいえない状況です。

ヒトの高度先進医療では”ガン性胸膜炎、ガン性腹膜炎に対するQOL(生活の質)改善など”が適応となっていますが、これも、直接の抗腫瘍効果というより、免疫力増強~体力の維持による効果の可能性のほうが高そうです。
もちろん、免疫細胞が増加するわけですから、抗腫瘍効果が認められなくても他の感染症等に対する抵抗力は増していますので、闘病中風邪にかかりにくくなるなどの副効果により、全体的にはQOLの改善につながるとは思います。

よって、活性化自己リンパ球移入療法は、手術、抗ガン剤、放射線療法に次ぐ、第四の新しい治療方法と近年盛んに宣伝されていますが、がん治療の選択肢というよりは、あくまでも免疫状態の維持のための治療法と考えた方がよさそうです。

その場合、一回数万円~数十万円という治療費が妥当かどうかということになりますね。

獣医師 佐瀬

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書いた人

佐瀬 興洋
佐瀬 興洋
【経歴】

2004年 麻布大学獣医学科卒業
2006年 Watpo Thai Traditional Medical School(General Massage) 修了
2008年 ユーミーどうぶつ病院開院
2013年 HJS 整形外科研修
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Basic Course 修了
2014年 DePuy Synthes Vet Spine Seminar Advance Course(神経外科) 修了
2014年 HJS Night Vets Club “Liver Night” 参加
2015年 HJS World Class Program “TPLO”参加
【所属学会・資格】公益社団法人千葉県獣医師会所属公益社団法人佐倉青年会議所2018年度監事
獣医麻酔外科学会・日本獣医循環器学会・獣医再生医療研究会・ISFM(国際猫医療学会)・JVOC(日本獣医眼科カンファランス)獣医眼科手術研究会


当たり前のことですが、なるべくしっかりとした診断を付けることを目標にしています。
その上で、出来る限りの治療を行えるように努力しています。
外科分野では骨折や脱臼などの整形外科、泌尿器や消化器、肝臓、胆嚢の軟部外科、皮膚形成外科、椎間板ヘルニア、会陰ヘルニアなどの手術を得意としております。 近年小型犬種にも増えている前十字靭帯断裂などの膝疾患の治療に力を入れており、TPLOのような専門的な手術も実施しております。内科分野においても幅広く勉強しております。 内視鏡や超音波診断装置を使用しての消化器系の検査も行なっておりますので。 どうぞご相談ください。
飼い主様が安心してご来院できるよう最新の知識・技術の研鑽を怠らないように心がけています。

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